飯田盆地の霧
長野県の南部に位置する飯田市の冬は、太平洋岸のような晴天率の高い年が比較的多いが、時に日本海岸のような鈍色の空が続くこともある。
当地の雨雲も雪雲も、伊勢湾から中山道に沿って渡ってくる湿った空気が、恵那山から神坂山にぶつかって湧き上がるイメージだ。
冬型が強ければ、雲は阿智駒場から山本までも覆い、そして飯田市街も雪雲に覆われる。
今日は晴がちの予報だったが、西南西からの雲がはり出して午後から小雨になった。
夕方、南南西に晴れ間ができて、昨夕に引き続き金星と三日月との共演を眺められたのは幸いだ。
さて、伊那谷の南、初冬の飯田盆地は朝霧に沈むことが多い。
快晴の翌朝、マイナス気温近くまで冷え込むと、まだ水ぬるい天竜川の各支流の川面から霧が沸き立ち、低地へ低地へと流れ込んでゆく。
アイソン彗星を撮りに上った月夜平からも、刻一刻と飯田盆地を満たしてゆく霧の姿を眺めることができた。
6時25分には、天竜川河川敷より100メートル近くの標高差がある丘の上まですっかり霧に包まれていた。
この霧は日の出の少し前に現れて、2~3時間も居座る。
空は晴天なのに、冬の日照はこの霧のために短くなるのだ。
清流の水温が十分低くなる12月の上旬から中旬まで、冷気が山間を下る朝は川霧が起って陽の光を遮り続ける。
日照時間が減れば、地表が蓄える熱量も減って、寒さはより厳しくなる。
反対に暖冬であれば、山間の大気も温み、川霧はあまり起らない。
そのため、朝から陽光が大地に注ぎ、夜間でも地表は冷えにくく、底冷えを感じることがない。
今冬は早朝に氷点下近くまで下がると、街は決まって朝霧に包まれている。
厳しい寒さが続くとの予報の兆しを実感する、朝霧の景色だ。
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