2013.11.29

アイソン彗星消滅!?

明け方の空に美しい尾を長く曳いたアイソン彗星の姿を見られることを楽しみにしていた。

しかし、アイソン彗星が太陽へ最接近した今日、残念なニュースが入ってきた。

直径3~5kmほどと、彗星としては小さめなアイソン彗星は、27日にも「分解消滅したか?」というニュースが流れました。

しかし、その後の衛星写真で確認され、光度が増していることも観測されて、いよいよ来月上旬には肉眼でもはっきり見られる彗星へと成長することが期待されていました。

ところが今朝、崩壊して蒸発したとして、その瞬間とされる動画がNASAから公開されています。

24日に土星と共に昇ってくるアイソン彗星を撮影したいと考えていたが、所用で果たせなかった。

太陽から離れ、光度を増すだろうアイソン彗星を楽しみにしていた。

とても残念だが、また美しい姿を見せる彗星がやってくることに期待。

ただし、「悪魔のハンマー」は御免だけど。

水星と昇るアイソン彗星

Marcury and Comet ISON

23日の写真を再掲載して、永い冒険を終えたアイソン彗星を偲ぶ。

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2013.09.07

宮崎駿監督の引退記者会見

スタジオジブリの宮崎駿監督が引退の辞を出され、今後の10年のスケジュールから長編アニメーション製作を外す旨を発表された。

長編アニメからの引退発表の反響に応え、昨日14時から記者会見があった。

90分にもおよぶ会見だったが、ニコニコ生放送やユーストリームで最後までご覧になった方は多いだろう。

日本テレビ系列でも、ワイドショーの中で前半を生中継したらしい。

観ていてもとても興味深く、そして楽しい会見だった。

ああ、宮崎監督は境地に達したことが良く理解できる。
見ていて幸せになれる記者会見って、それはそれは凄いことだ。

「引退の辞」の中でも言及しているが、宮崎監督はジブリ美術館の展示物を少しずつ補修したいと考えられているようだ。

「自分が展示物」なんて言い方もされていたので、自身が展示物を描き直す作業まで展示してしまおうと考えられているのだろう。

実現すれば、ジブリ美術館の入館予約はプラチナチケットになる。


人の幸せも十人十色だろうけど、「風立ちぬ」の主人公と同じく、文字通り仕事一筋であることを再確認した。
来る日も来る日もアニメーション製作に臨む日々。就業条件で考えれば、ブラックなんて生易しいものではない。
蟹工船もいいところだ。

監督としては、先が見えない、それでも広げた風呂敷を閉じなればならないという苦悩の連続で、つらい仕事だという。

しかし、アニメーターは世界の真理を垣間見る。自然の仕組みに気付き、だからこそ風までも描き出すことができる。
世界を抽象化するには、世界を知らなければできない。その域に達せたと思う瞬間があるらしい。それは、凄いエクスタシーだろう。

そんな大仰なことばかりでなく、良く描けたと感じて幸せになれる職業。作業の中で幾度となく幸せを感じ、かみしめることができるのがアニメーターの原動力のひとつという。

作業の中でうまくいったことに幸せを感じて、仕事の励みになる。これって、多くの日本人は共感できるのではないだろうか。

しかし、人権の名のもとに、このような幸せは過小評価される傾向にあるけれども。


記者会見の中で、スタジオジブリの会報誌「熱風」2013年7月号で宮崎監督が寄せた「憲法を変えるなどもってのほか」という記事の真意に言及された。

思想に関しては一般市民である自分の個人的考えを、「熱風」から取材されたから答えたまでという言い方だったが、そのあとに、実は今年5月に東京新聞の憲法特集における鈴木敏夫プロデューサーへのインタビュー記事で、鈴木プロデューサーが 「平和をもたらした憲法九条をもっと世界にアピールするべきだ」として憲法九条改正に否定的な見解を発表し、それに対して鈴木プロデューサーへの脅迫行為があり、暴漢への対処のひとつとして、宮崎監督も自ら憲法九条改正反対を表明し、ついでに高畑勲監督にも同様な趣旨の発表をしてもらえば、脅迫の矛先が三つに増えて陽動になる的な発言であった。

もっとも、宮崎監督のユーモアの一つだったかも知れない。
どちらかと言えば左翼思想をお持ちであるのは、周知の事実である訳だし。


宮崎監督の長編アニメーション引退記者会見の模様は、機会があれば是非ご覧になることをお薦めする。
達人の幸せをわけてもらえた気がする一時でした。

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2011.05.12

中央リニア新幹線長野県区間ルートを妄想する

JR飯田線飯田駅に中央新幹線の長野県中間駅を併設する場合の長野県内ルートを想像してみた。

地図中央を横断する赤線が予想ルート。中央付近の赤丸がJR飯田駅にあたる。オレンジは中央自動車道だ。
左端(始点)は岐阜県中津川市のJR中央線中津川駅、右端(終点)は長野県下伊那郡大鹿村釜沢のJR東海ボーリング調査地点とした。

地図は国土地理院の『ウォッちず』と基盤メッシュ標高を用い、カシミール3Dを使用して作図している。

断面図には、リニア新幹線の最大勾配40‰(パーミル)以内でルートを朱書きしてみた。

中津川駅と飯田駅の間はおよそ30km。
L01系リニア車両は発車から500km/hの営業速度までの加速区間として7kmを要するそうなので、減速区間も同じく7kmとしても、16km間は営業速度運転が可能だ。

また、上図のように岐阜県の中間駅をJR中津川駅付近と想定した時、このルートは意外にも長野県を横断する最短距離になるようだ。

このことは、軌道の敷設費用に大きく影響する点であり、事業主体であるJR東海の理解を得やすい最も重要な要素である。


飯田駅周辺の拡大図は以下。紫線がフルーツライン(県道15号)にあたる。
中央赤枠(斜線部)が飯田駅候補用地かな。もちろん、勝手な妄想で記入している。リニア中間駅に必要とされている長さ1kmの敷地は、なんとか大丈夫。変電施設などの用地もいけそうだ。


さて、喬木村源道寺の丘から対岸の飯田市上郷桜畑の下へは、実に5キロメートルという巨大な架橋で天竜川を跨ぐことを想定した。

飯田盆地(伊那谷)を横断するこのような巨大建造物の建設に対して、住民の理解を得られるかが一番の課題かな。

中央新幹線の巨大架橋が横切る飯田盆地を、下條村の極楽峠から眺めることを想像してみたり???


妄想ついでに。

JR飯田駅周辺の水道水はとても美味しい。
中央アルプス山岳地帯の花崗岩質の地層から流れ出る水は軟水の甘露で名高く、飯田市風越山山麓に湧出する「猿倉の泉」は、環境省選定(昭和の)名水百選のひとつでもある。

飯田市は周辺町村との合併で、現在では約660平方キロメートルという広大な面積をもつが、昭和12年に飯田市として発足した当初は、飯田駅がある河岸段丘の一つに収まった小さな町だった。
今でもこの地区は、地元で「旧市内」と呼ぶ。もっとも旧市外からは、衰退する市街の様子を哀れむニュアンスをもって「丘の上」と呼称されるようになっている。

さてその丘の上は、旧市時代に整備された水道を利用している。
砂払浄水場より給水されるもので、この浄水場は中央アルプス山岳地帯を流れる黒川の標高1400メートル地点から取水している。

取水地は中央アルプスの雪解け水からなる豊富な湧水により、年間を通して安定した水量が確保できると共に、花崗岩層の浄化作用に加えて高い標高の恩恵により非常に良好な水質を誇っている。
さらに、荒天においても汚濁が発生しない。

しかしながら、取水地から砂払浄水場までの設備が古く、現在の1日最大で15400立方メートルの取水量を増やすことは出来ないだろう。

リニア新幹線の長野県中間駅がJR飯田線飯田駅に併設されると、水道系統の割り当てが変わり、水道の質が変わってしまうのではないかと気がかりだ。
砂払浄水場の能力を超えてしまい、新設されるだろう浄水場などの水道水が混ざって、現在の美味しい水を失うのではないかとか(苦笑)。

まぁ、なんてみみっちい悩み。しかも妄想したことに対して、危惧するなんて(苦笑)。
しかし、飯田旧市内地区の水道水の美味しさっていうのもまた、かなりなセールスポイント。ちょうど温泉地で温泉配管を各家庭へ通しているように、あたかもブランド名水が水道によって各家庭へ配られているようなもの。
スーパーで水を買うなんて気にはなりません。
水道水を沸かす一般家庭のお風呂でも、お湯がやわらかい!なんて感想を聞くことも良くあるのです。

もっとも、都会に比べて水道料金は高いです。160人/km²という人口密度の低さが主な原因でしょうけどね。
ライフラインは人口密度が高くなるにつれて費用対効果が急速に高まる次第です。

脱線失礼・・・。

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2011.05.09

リニア新幹線中間駅を飯田線飯田駅へ併設するなら

上郷の鶏足院の北から一旦トンネルにして、テニスプラザあたりで再び地上に出して飯田線の西側を通すという感じだろうか?

飯田駅西側はJR東海や中部電力、そして飯田市の所有地が多く、収用は意外に容易かも知れない。

高羽町にある労働金庫が中央通り3丁目の西友跡地へ移転するのも、関係していそうだ。

リニア中間駅がどの程度コンパクトに在来線駅と併設できるのかは知識を持ち合わせないが、長さ1km、幅40mの用地は十分に確保でき、意外に地上駅でもJR飯田線飯田駅に併設することは可能なように思われる。


道路はすでに県道15号線から延伸された片側2車線のフルーツラインがあり、中央自動車道座光寺PAへスマートICを設置すれば、フルーツラインを利用して10分程度で中央自動車道へ直結する。

フルーツラインは育良町まで延伸されて国道256号線と接続し、更にアップルロード(国道153号線)飯田IC東交差点まで繋がる予定で、工事は松川に掛かる橋梁と鼎切石区間(羽場大瀬木線)を残すのみ。完成すれば、飯田駅と中央道飯田ICとの接続も10分未満になるだろう。


パーク・アンド・ライドのニーズに対応するための駐車場は、飯田市立の東中学校を移転させて跡地を収用することで確保か。

少子化により各学年1クラスとなってしまった市立の追手町小学校を同規模の浜井場小学校へ統合し、文化財である追手町小学校の施設へ東中学を移転させるのが合理的と思われる。

歴史的流れを踏まえるなら、浜井場小学校を追手町小へ統合し、浜井場小とそれに隣接する風越公園を新しい東中学の用地へ当てるのが妥当かも知れない。


さて、JR飯田線の飯田駅へリニア中央新幹線の中間駅を併設する際にポイントとなる用地と交通の利便性、そしてパーク・アンド・ライドに要求される駐車場用地の確保という点はクリアできそうだ。

では、デメリットを見てみよう。最も現実的な問題は、在来線駅の併設は単独駅に比べて建設費が増すことにある。

在来線の運行を担保しつつ軌道や新駅の工事を進めるための費用増はもちろんのこと、駅舎も含めそっくり在来線飯田駅の設備改良を行う必要がある。

新しい飯田駅の北口はほとんど桜町駅と変わらない場所に来るだろうことから、桜町駅は廃駅にできるとしても、数億から十数億円数十億円のコスト高が見込まれそうだ。


次に公害対策だろうか?

1千億円を超えると言われる地下駅の建設費用を負担できるほどの経済力は、飯田下伊那地方はおろか長野県でさえ無いだろう。

地上駅としてJR東海へ要望しなくては、検討の余地がない。当然、駅周辺の軌道は明かり区間となる。

中間駅である飯田駅への停車は、その利用予測からかなり絞られる。検索エンジンでリニア新幹線のダイヤ予想を探してみると、直通が15分おき、各駅停車が1時間おきというものがある。

ラッシュ時の増発を無視しても、上下線それぞれ15分おきに時速数百kmの超高速列車が市街地の真ん中を通過してゆく。
騒音、そして、超伝導電磁石が発生する電磁場に対する健康被害の懸念。

また、喬木村から上郷に掛かるだろう高架橋、そして白山町から松川に掛かる高架橋が落とす日陰。

さらに、事故が発生した際の市街への影響への不安。

河岸段丘上の狭小な平地(緩傾斜地)に密集した街区と、その中心となっているローカル駅にリニア新幹線中間駅を併設させるデメリットは、これら公害への住民の懸念に集約されるように思われる。


JR飯田線飯田駅へリニア中間駅を併設するメリットは、この提案を推進する一派が主張するように、中間駅に必要とされる道路などのインフラを既存の設備でまかなえるというものだ。具体例は先に挙げた。

市街地を収用することになるが、JR東海や飯田市、そして中部電力などが大口の地権者である土地を活用することにより、郊外へ中間駅を設置する場合に比べて収用の困難さや費用は大して変わらないと見積もられる。

現在のJR飯田駅に西口は無い。飯田駅は東側にのみ玄関口があり、商店街は東へのみ広がっている。
西側へのアクセスは、東口からの地下歩道による。そのため、飯田駅の東側は住宅街となっている。

飯田駅西側を通るフルーツラインを中間駅へのアクセス道路とすることで、大規模駐車場もフルーツラインに沿った西側へ作られるだろう。
そして、新幹線中間駅の併設により新設されるだろう西口こそが飯田駅の玄関口となる。

フルーツライン沿線は、飯田駅周辺に大規模店舗が出店する余地を多く残している。

仮に現飯田駅がリニア中間駅も併設できることになれば、周辺再開発において、駅の東商業区と西商業区の格差をいかに抑えるかがテーマとなる。


ところで、JR東海は、仮に飯田市周辺へリニア中間駅を設置するとしても、飯田線の高速化は図らないと明言している。

JR東海としては、長野県内の中央本線駅などからリニア中間駅へのアクセスは、中央道を利用する高速バスによって提供したいとする。

JR飯田駅の東側に広がる従来の商業区がリニア中間駅併設による受益を望むならば、飯田駅へ接続することになるJRバスをはじめ、従来の各社高速バスが利用するバスターミナルは、現在同様に駅東側に設置しなければならない。
自家用車でのアクセスが西口ならば、公共交通機関でのアクセスは東口という構造を実現する必要がある。


それにしてもJR東海にして高速化は図らない、と言うか不可能とさえ明言されよう飯田線の飯田駅にリニア中間駅を併設して欲しいなんて、地元の一部地権者による利益誘導以外の何ものでもないという批判は当然にあるだろう。

しかも、JR飯田駅周辺の市街区を形成する土地は、東に約1.5km平方の平坦地(厳密には緩斜面)、西側は緩やかに山へと続く斜面であって、その地形を南は松川、そして北は野底川が切り取っているという狭小なものだ。

ところが、この地形的問題点は、そのままコンパクトシティ実現の動機付けになる。

実は既に文化的な施設の箱ものは、この狭い街区に揃っている。
劇場や大小の公会堂、図書館、最新のプラネタリウムを持つ博物館や考古学研究所、複数の美術館、コミュニティセンター、複数の映画館、そして衰退しつつあるものの多様な商業区。
さらに多くの公園とりんご並木や桜並木といった美しい街路が整備されている。

多くの地方都市同様に人口の空洞化が進んでいるJR飯田駅周辺市街区は、徒歩圏内にちょっとした地方都市のインフラがすべて揃っているのだ。

この環境に、飯田駅から70分で品川へ出られる、25分で名古屋駅へなんて付加価値が加われば、都会からの富裕層が終の棲家として移住するに足る都市へ化けると考えられる。

また、片側2車線のフルーツライン(県道15号線)に隣接することで、大規模施設の誘致も郊外型中間駅同様のキャパシティを確保できるだろう。


中間駅を郊外へ設置した場合、リニアで70分乗れば東京へ出られるにもかかわらず、リニア駅から現JR飯田駅まで公共交通機関で20分なんてことが予想される。それでは、富裕層の流入は鈍ろう。
郊外型の中間駅では、ちょうど東海道新幹線の岐阜羽島駅の様に、しばらくはパーク・アンド・ライドを中心とした利用がメインとなり、駅周辺に大型店舗の出店や企業などの誘致が期待できるものの、街区の発展は将来的な雇用の増進が牽引するだけにとどまると思われる。


飯田駅併設では、既存の市街への人口流入が早期に期待でき、さらに飯田線が街区の拡大を促進するだろう。

県道15号線によって、隣接町村への利益誘導も大いに期待できる。
特に中央道の座光寺PAへスマートICが設置されれば、高森町はフルーツラインに加えてハーモニックロードの付加価値を高めることができるだろう。

飯田駅へリニア中間駅を併設するという構想は、長野県内の人口を南へ傾斜させるということではなく、都会から長野県へ富裕人口を流入させながら飯田市周辺の文化都市としての色彩を鮮明として、中北信同様に長野県の財政を支える新しい基盤とさせる可能性に満ちているのではなかろうか。


東北地方太平洋沖地震による震災からの復興、現在も進行中の福島第一原子力発電所放射能漏れ事故と、それにともなう脱原発の動きによる電力不足問題。
未解決の課題が山積する日本の現状において、中央リニア新幹線の一中間駅について考察するのは滑稽なことかも知れないが、以前の考えを改にして思いつきを書き留めた次第だ。

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2011.03.04

リニア中間駅は飯田市街南郊外が良いな

JR東海が中央新幹線を直線ルートとした場合の長野県に設置する中間駅は、飯田市北郊外を想定と発表している。

それに対して、地元はJR飯田線飯田駅併設を強く要望する格好になっているようだ。

しかし、仮に現飯田駅併設が具体化すれば、近隣住民は反対する可能性が高いのではなかろうか。
住宅街が収用されることになるからだ。

だからと言って、南に拡がる飯田市では、JR東海が示した市街北への中間駅設置の受諾は望ましくない。

県庁所在地が北に偏在する長野県では、南端の飯田市への投資は常に優先順位が低い。
県庁が偏在する県は、大概に江戸期の中心都市が佐幕派であった名残だ。県の中心が偏在すると、資本や人材の集約に支障が出る。自県の中心都市よりも、より近い大都市へと人材などが流れるからだ。結果として、その県の繁栄は遅滞する。
明治政府の嫌がらせが、今も続いているということか(苦笑)。

話を元に戻す。飯田市街の北郊外とは、飯田市の北端に当たる。最悪の場合、飯田市を外れ隣町になる可能性もある。

飯田市北端に中間駅ができることになれば、中間駅へのインフラ整備は以北が中心となるのは明白だ。

そして、中間駅が中心となる新しい町作りは、南側の飯田市へ拡がるよりも、北側の隣町へと拡がってゆくだろう。


あえて繰り返すが、「リニア新幹線中間駅を飯田線飯田駅併設ってのは無茶」というエントリーで指摘したように、中央新幹線を走るリニア車両のL0系は12両編成で全長300メートルを超える。

ホームだけでも400メートル近い長さとなるだろう。
JR東海が想定するポイントなども含めた中間駅施設の全長は1000メートルに及ぶ。

また、営業速度500km/hの旅客車両を1キロメートルの間で停車、加速させることは不可能なので、中間駅前後に減速、加速区間が必要となる。
本来なら、この加減速区間もある程度複々線化して閉塞区間の距離を詰め、ダイヤ編成をより過密化可能なようにしたいところだろう。
建設費と収益予想などとのトレードオフなため、こだまに相当する各駅停車タイプは中間駅に都度待機で、ひかりに当たるノンストップタイプの倍以上の時間を掛けて運行となりそうだが。

地元自治体が要望しているJR飯田線飯田駅併設を実現には、多くの人家や店舗の移転と土地買収が必要になる。

飯田駅を中心とする市街は、東西1km四方へ広がっているに過ぎない小さなものなのだ。
しかも、河岸段丘の極少な平地に立地するため、将来的な街区の広がりに対応できるキャパシティが無い。

技術的には地下駅によって現状の市街を維持しつつ、飯田駅併設ということも可能だろう。しかし、地上駅で350億円に対して、神奈川県などで設置が想定されている地下中間駅では2200億円という建設費が見積もられている。神奈川県の中間駅に比べて乗降客は圧倒的に少ないだろう駅へ、6倍近い建設費の負担は不可能だ。

市街地に中間駅を設置するとすれば、土地収用に掛かる費用も多額になろう。
仮に飯田駅へリニアを接続するなら、天竜川からの標高差もあり、喬木村方面から座光寺-上郷あたりに長大な高架橋が必要になると思われる。

日照や景観の変化の影響を受ける住民は少なくないだろう。
電磁波問題も吹聴され、住民の反対運動が発生する可能性すら出てくる。


飯田市は、市街南郊外を中間駅として要望すべきと思う。

地形や人口などを見るに、松尾地区から駄科あたりまでで実現の可能性を模索し、飯田市の要望として意見集約した方が、より現実味を帯びると思うのだ。

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2011.02.25

リニア新幹線中間駅を飯田線飯田駅併設ってのは無茶

旧友が4月から地元へ帰ってくる。

本人から電話をもらう数週間前、何の拍子かみーちゃん氏に彼の逸話を語った。
ロッカーボムの話し。

それをサークルで話題にしたらしく、ロッカーの人が来るよ!ってことで掴みは完璧です。

早々に興味本位のお客様がつめかけるかも知れません。スマン。
お詫びに、おすすめコースを連れ回そう。彼も自転車乗りなのであった。


さて、彼が言うに、住まいをどこにするか悩んだそうだ。と言うのも、中央新幹線(リニア新幹線)のルートに掛かると立ち退きが必要となるそうだから、新築できないってことらしい。

そこで、リニアのルートが正式発表されるまでは借家住まいとしたそうだ。


中央新幹線は東京-名古屋間の2027年開業を目指し、2015年には着工を予定している。

ルートはまだ正式に決まっていないが、長野県が昨年6月に、二十年来主張していた諏訪地区を通過するルートから、赤石山脈を貫く直線ルートを容認する姿勢を見せたことや、山梨県が正式に直線ルートを支持したことを受け、いわゆるCルート(南アルプスルート)でほぼ確定した観がある。

こうなると、今度はより小さなコミュニティ間での施設誘致の綱引きとなる。


中央新幹線は、超高速浮上型リニアモーターカーという新技術で敷設される新型鉄道路線だ。
本来の技術的な制約に加え、安全性のマージンも十分に勘案してルートは設計されるだろう。そのため、地形や地質、水脈等の自然の諸条件の影響が大きくルート決定に影響するものと思われる。

つまり、概ねのルートが決定してからは、地域経済や政治的利害の配慮よりも、技術的な制約で実際に路線が敷設される場所が決まってしまうだろう。
超高速であるが故に、小回りは利かない。

JR東海内では既に具体的なルート設計を終えているのだろうが、多くの利害が絡むものであるため、ぎりぎりまで公表されないだろうと思われる。
そのため、Cルート近辺の自治体や利害関係団体は躍起になっている。


長野県では、飯田市周辺を中央新幹線が通過することになる。
ほぼ全県を縦断する山梨県では、中間駅を4駅作るようJR東海へ要望しているようだが、Cルートで決着するならば、長野県では飯田市周辺に一つ中間駅を設けるだけとなるだろう。
中間駅を設けないという選択は、地元にとってなんのメリットも無くなってしまい、環境の変化などのリスクを負って新幹線建設を受け入れる理由が消えてしまうからあり得ない。

都会への新しい交通インフラが整備される度に、地元(地方)から人材が流出することを憂う意見も起こる。
しかし、地方に魅力を感じない人々は、交通インフラに関係なく地元を離れる。魅力的な地域づくりにこそ力を注ぐべきであって、インフラの整備に反対するのは労力の無駄だ。
魅力的な地域には、人材が集まるものである。交通インフラが整備されていれば、それを使ってより集まってくる。
それが超高速鉄道ともなれば、定住地をその地方として都市で仕事をするとか、その逆もまたあるだろう。ダイナミックな人の移動が期待でき、お金もまたダイナミックに動くことになるのだ。

そして、飯田市周辺のどこへ中間駅を作って欲しいか?という論議が起こる。


中央新幹線を走るリニアモーター車両は、L0系として既に発表されている。車両の発注も近く行われるそうで、2013年度までに先頭車2両ならびに中間車3両を完成させ、山梨の実験線で試験を開始する予定だ。
さらに2015年度までには先頭車2両と中間車7両が追加完成され、営業運転時の12両編成での試験も開始される予定となっている。

L0系の先頭車両の長さは28m、中間車両は24m。連結部分の長さを無視しても、12両編成分の全長は296mに及ぶ。

JR飯田線を走る最も長い車両は373系ワイドビュー伊那路の3両編成で、全長は63mにすぎない。
飯田線の車両や駅舎を材料に、中央新幹線の中間駅を想像してはならない。


JR東海では、柔軟なダイヤ編成を可能にするため、2本のホームと4本の待避線路を持つ中間駅を想定している。
このような駅を造るには、幅40メートル、長さ1000メートルにも及ぶ敷地が必要となる。

設置に掛かる費用の見積は、地上駅の場合で350億円。

中間駅の建設費に関しては、受益者となる地元負担を求める姿勢がJR東海より示されている。


中間駅からの受益を得るために、そこへのアクセスや周辺整備は同時に行われなければならない。
こと飯田地区に関して言えば、JR東海は飯田線の活用はあり得ないという見解を示している。
JR飯田線は単線でしかも低規格なうえ、駅の数も多い。高速化を行うには大規模な改修が必要で、現実的ではない。

JR東海としては、高速バスを運行することで、北信や中信とリニア中間駅とを結ぶインフラに代えたいとしている。


つまり、中間駅の条件としての幅40メートル、長さ1キロメートルの敷地に加え、高速バスターミナルの併設が必要となる。
そして、高速バスをアクセスに活用する以上、飯田地区であれば、その立地は中央自動車道路のインターチェンジ近くであることが望ましい。


ところで、リニア新幹線実験線から、営業路線の設計思想が読みとれる。
実験線は曲率半径8000メートルのカーブが最小だ。つまり、それ以上の急カーブを営業路線で採用することはないだろう。
また、車輪で動力を伝達しないため、浮上型リニアモーターカーは勾配に対して強いとされている。
実験線には40パーミルの勾配が配されているそうだ。

また、山梨県の実験線は、そのまま本路線として活用される予定だ。
さらに、JR東海は赤石山脈を貫く長距離トンネルの実現性を検証するため、山梨県早川町と長野県大鹿村でボーリング調査を実施した。その場所は、本線の予定経路と一致していることだろう。

繰り返すことになるが、これら敷設条件と地形などを勘案して、ある程度のルート予測ができると言われている。


以上から、長野県に作られるだろう中間駅の位置も、自ずと決まってきてしまうだろう。
地元の意向は重要だろうが、合理性をないがしろにしてA,Bルートにこだわったようなことを繰り返してはならない。

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2011.02.24

地震体験車

土曜日の昼下がり、国道沿いの消防署の前を通り過ぎると、消防士さんたちが、なにやら手作りのプラカードを行き交う車に向けて振っている。

振り返ると、「地震体験」と読めた。

そう言えば、地震体験車らしい車両も視界に入ったな。

引き返して、体験させてもらう。


事前に地震体験車が来ることを知っていた方々は、とっくに体験を終えたのだろう。消防士さんたちの他には、お爺さんがお一人いただけだった。
しかも、彼はすでに体験を終えて帰るところだったらしい。地震体験車は貸し切り状態となった。

地震体験車は最新モデルで、過去に起こった地震や、将来起こるだろう地震までシミュレートできるものだった。

油圧と電動モーターで2畳ほどの体験スペースの箱を揺らすお馴染みの仕組みだが、40型ほどのLCDディスプレイにCGの街路が表示され、再現された振動と衝撃に合わせて、街が倒壊して行く様もCGで表示される。
もちろん、震度も別にデジタル表示されるようになっていた。

トラックの荷台に置かれた体験スペースには、シミュレーターへ直接固定されたスチールフレームのテーブルが中央に置かれ、テーブルを挟んで折りたたみ式のスチールチェアが2脚置かれている。
定員は4名だが、今日はそれほど多くの来場はなかったようだ。


はじめに2007年7月の新潟県中越沖地震を体験した。

約1分間に周波数の低い縦揺れと横揺れが3セット続く。「ずぅんずぅんずぅん」と縦揺れが来て、「ゆっさゆっさゆっさ」と横揺れが収まったと思ったら、再びずぅんずぅんずぅん、ゆっさゆっさゆっさ、ずぅんずぅんずぅん、ゆっさゆっさゆっさって感じ。

それほどの強い衝撃ではなかった。しかし、何度も揺れが続くことで被害が拡大した。


次に1995年1月の兵庫県南部地震。テレビ中継で見た被害状況は、いまだ鮮明に記憶に残る。

「ずず、どぉん」と強い突き上げの後、「ゆさ、さっ」と大きな横揺れ。一気に強度が足りなかった建物を倒壊させた。

中越沖地震の様な揺れ方なら、火の元を消すなどの対処も可能かも知れないが、兵庫県南部地震の様な直下型の強い縦揺れに襲われては、昼間であっても対処の仕様はないだろう。


そして、近い将来発生するものと予測されている東海地震のシミュレーションを体験した。
どういった方法で算出されたものかは知れないが、上記二つの大地震の体験が消し飛んでしまう恐ろしい揺れだった。

「ドドドドドドドド」という震度7のとても強くて高い周波数の縦揺れ、そしてすぐに「ゆさゆさゆさゆさゆさゆさ」と強い横揺れに襲われる。
収まったと思ったら、再びドドドドドドドド、ゆさゆさゆさゆさゆさゆさ。

ここ数年、公共施設におこなわれている耐震補強工事でも間に合うのだろうか?と不安になるような揺れ方だった。

マグニチュードはある程度予測できるかも知れないが、震源の位置と地表の複雑な構造によって、実際の震度は大きく変わってこよう。
シミュレーションは、最悪の結果を体験させるように調整されているとは思う。

それにしても、予想外の揺れ方だ。あんな地震に襲われたら、被害地域の人々はかなり厳しい運命を背負うことになると、とても不安になる。その予想被害地域で暮らしている。


一昨日の22日、ニュージーランドで地震が発生して大きな被害を出している。

被害に遭ったクライストチャーチは、NHKの「世界ふれあい街歩き」でも紹介されたことがある英国式の古い家並みが残る美しい旧市街だった。
観光資源である町並みはほとんど倒壊し、多くの方々がいまだに瓦礫の中で救助を待っている。
彼らが無事に救出されることを祈りたい。

今回の地震は、昨年9月にニュージーランドの同じ断層で発生したマグニチュード7.0という大きな地震の最大余震で、マグニチュードは6.3だったそうだ。
エネルギーレベルこそ低いものの、昨年の本震よりも震源が町に近く地表に近い場所で発生したため、震度6強という揺れが襲ったようだ。しかも、クライストチャーチは河岸の町で、地盤の弱さも被害の大きさにつながったとみられている。

ニュースによると、兵庫県南部地震に似た揺れだったそうだ。お昼時にかかわらず、火災の発生は少なかったらしいのが不幸中の幸いか。

それにしても、ニュージーランドは日本同様の地震列島として知られている。
耐震への関心は決して低くないはずだ。その割りに、築40~50年程度の鉄筋コンクリートの建物の倒壊が目立つ。
新しい耐震基準で作られた最近の建物は倒壊していないそうだ。日本とは違い、耐震基準の改正前に建てられた建築物を補強工事するという措置が遅れていたと思われる。

タダで耐震補強の工事ができるわけはなく、必要であると理解していても、いつ起こるとは知れない地震に対する投資の優先順位はどうしても低くなってしまうだろう。
昨年のM7の本震では大した被害が無かったクライストチャーチでは、次に起こるだろう大きな地震はずいぶん先の事と予想されていただろうし。
まさか、その余震でこれほどの大きな被害をもたらすとは。不謹慎ながら大自然の驚異として評価し、今後の地震対策に勘案されることだろう。

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2010.12.11

深夜の救出劇

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2010.11.10

さようなら「英会話のジオス」

11月1日、ジー・エデュケーション社からジオスの11月分の授業料が返金された。

10月7日に急遽月末までに閉校することが告げられ、実際の閉校は10月28日。
次女Y氏の最終レッスンが28日に入っていたので、前日に繰り上げて、娘たちと妻が長く通ったジオス校とは慌ただしく別れを告げた格好だ。

4月の破綻時に実質負債を被ることがなく、新しい契約は新体制になってからのため、先月の閉校に伴う負債は現金で返金となった。これでジオスとは完全に縁が切れた。

存続校、そして新設校は、子どもジオスを除き今月からNOVAと同じカリキュラムになるのだそうだ。

ジオスで作られたテキストや副読本などは一切使われなくなる様で、閉校に伴い廃棄される書籍は本部の許可をいただいてマネージャーが希望者へ配布してくださった。

地方校なのでサンプル版が必要最小限あったに過ぎないけど、ささやかながらも気の利いた配慮だったと思う。

ジオスのテキストや副読本を眺めると、教育理念よりも利益を優先した経営幹部に創業経営陣が出し抜かれたというのが4月の破綻劇の真相だった気がする。
それなりに評判の良かったジオスのカリキュラムや指導体制は、顧客にとって質が高い分利益率は低かろう。
しかし、生徒たちのことを優先するなら、排除された創業者が言うように、破綻させなくとも教室の統合整理を試みるべきだった。

と言うか、NOVAの破綻を教訓として慮られるようになった受講生保護の指針を回避するため、ジー・コミュニケーションによる旧ジオス受講者の未受講分引き受けと僅か半年でのジー・エデュケーション社の売却は初めから仕組まれていたのではないかと思えて仕方ない。
そもそもジー・エデュケーション社の売却先は、元ジー・コミュニケーション代表の稲吉氏の投資会社な訳だ。

この方法で、関係省庁やマスコミが一夜にして負債を被った旧ジオス受講者保護に騒ぎ出すのを抑え、ニュースを忘れさせて徐々に被害者を切り捨てた格好となっている。

さて、娘たちは英語を続けたいそうで、次女は知り合いのアメリカ人が経営する英語塾へ行くことになった。
長女は中学英語を中心とした受験英語主体の日本人教師の塾を紹介されたが、体験入学の印象は芳しくないようだ。英語を習うより、長年一緒にジオスへ通っていたお友達とまた一緒に英語ができるのを重視している感じ。
まぁ、9年近くも毎週通っていた割には、大して英会話ができるようになった訳でもなく、子供たちが楽しんで通ってくれればそれで良いと思うようになっている。

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2010.10.21

WAONのチャージ限度額引き上げ

エコポイントは電子マネーのWAONへすべて交換した。

WAONカードは三井住友カードWAONが無料発行されたので、それにチャージする設定としたのだが、チャージ限度額が2万円までであることに気付かなかった。

端末に2万円を超えるWAONがあったとしても、WAONカードにチャージされていないと支払いには利用できない。

例えば3万円の品物をWAONで支払う場合、カードにチャージされた金額で精算して発生する不足分は、現金での支払いしかできないようになっている。
精算を保留してWAONへ再チャージし、残金もWAONで支払うという仕組みにはなっていない。

但し、イオンカードセレクトとイオンバンクカード付属のWAONであれば5万円までチャージできるようになっている。

チャージ限度額が設けられているのは、WAONカード盗難時の被害額を抑えるためらしいが、エコポイントをWAONへ交換する人が多かったこともあって、2万円というチャージ限度額は低すぎると不評なようだ。

そのため、イオンではWAON単体カードのチャージ限度額の引き上げを検討中とのこと。

その第一弾として、WAONカード単体で限度額5万円まで引き上げられたゆふいん湯歩WAONカードが登場する。

また、既存のWAON単体カードもチャージ限度額の引き上げを検討中らしい。

液晶テレビを追加購入する予定だったが、エコポイント制度が来年3月まで延長されたことだし(統一省エネルギーラベル『五つ星』製品限定)、もう少し様子を見ることにしよう。

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