とりあえず、今日も2時間ほどは走ることができた。
南からの風が強い。しかし、昨日ほど冷たくはなかった。

初めてのロードバイクは、なぜか固定ギヤ仕様へ改造されたものだった。
固定ギヤのスポーツ自転車は、その後にピストという呼び名でブームになった。
シンプルが一番とブレーキを付けない無謀なファッションが「ノーブレーキピスト」とフィーチャーされ、当然ながら事故やそれを誘発させる事件が目立つようになり、反社会的と指弾されるに至った。
ブレーキのない自転車に乗っている人に対して、積極的にペナルティが課されるようになった。
公道でブレーキの無い自転車を使うのは論外だが、固定ギヤの自転車に乗るのは楽しい。
しかし、ピストは一度ケチがついたファッションだ。ブームは去り、10年前のようにあまり見かけなくなっていくだろう。
ピストブームの中で、大きく二つのトレンドがあったと思う。
一つは競輪用の自転車をリスペクトする流れ。
もうひとつは、BMXを彷彿とさせるフリースタイル。
そんな中、ロードバイクを固定ギヤ化して使うのは傍流といえるかも知れない。
しかし、競技で使わなくなったロードフレームを固定ギヤ化して遊ぶのは、ピストブーム以前なら多数派だった。
ロードバイクフレームは、軽量なものが多い。
そのため、ロードバイクを固定ギヤ化すると、市販されているピストバイクより軽量に仕上がる。
ロードバイクフレームで固定ギヤ車を組む時に最も困るのが、リヤエンドの違いとチェーンを引く機能(テンショナー)の追加方法だ。
リヤエンドの違いは、ロードエンドに対応するハブが多くリリースされ問題とされなくなった。
また、ロードバイク用のホイールを固定ギヤ化するコンバーターも出回って、固定ギヤ用のホイールを新しく組まなくても固定ギヤを楽しめるようにもなっている。
残った問題は、テンショナーの追加方法。
ここ15年内にリリースされたロードバイクは、そのほとんどがストレートドロップエンドと呼ばれるリヤエンドを採用している。
後輪の脱着をとても容易に行えるエンド形状だが、ホイール軸の位置を調整する余地は無い。
そのため、固定ギヤ化(シングルギヤ化)した場合には、エンドにチェーン引き(テンショナー)を追加することができないため、チェーンの弛みを取ることはできない。
ロードバイクのピスト化におけるチェーン引きの問題には、次の3つの解決策がある。
- 固定ギヤ化するロードフレームのリア-センター(チェーンステイ長)に合わせて、チェーンが弛まないチェーンリングとリヤコグの歯数を使用する
- エキセントリック・アクセルシャフトを採用してチェーンが引けるようになっているWhite Industries製のENO HUBを使って、固定ギヤ用のリヤホイールを組む
- BBがBSA(JIS)もしくはプレスフィット30なら、ホローテックIIコンパチブルのクランクセットとエキセントリック化BBを利用してチェーンが引けるようにする。
というもの。
第1案は、チェーンのテンションが最適となる位置と、フレームのチェーンステイ長とが一致していれば、テンショナーがなくても固定ギヤを組むことができるという理屈。
チェーンリングの歯数とリヤコグの歯数、そしてチェーンの駒数の最適値によって、チェーンステイ長とどんぴしゃりになる組み合わせをMagic Gearと呼ぶ。
Fixed Innovationsというサイトで、Magic Gearを簡単に算出できるツールが提供されている。
わが家のCarrera Rollは、Magic Gearを使って固定ギヤ化されている。
第2案、深谷産業が扱っているホワイトインダストリーズ製の偏芯アクセルシャフト採用固定ギヤハブで固定ギヤ用のホイールを組む。
これが、ストレートドロップエンドフレームを固定ギヤ化する定番な方法だろう。
White Industries Eric's Eccentric ENO Single Speed Rear Hubは、アクセルシャフトを大径化して、その中に偏芯させた固定軸を設けることでチェーンが引けるようになっている。
120mm、126mm、130mm、135mmと、対応するエンド幅のラインナップも多い。
ホワイトインダストリーズの製品は精度も仕上げも素晴らしいが、お値段も相応となっている。
ちなみに、Rolfにはこのハブの特注品を使った完組ホイール「Rolf PRIMA P-TOWN」があり、エキセントリックシャフトモデルのお値段は前後ペアで8万8千円とのことだ。
第3案は、Trickstuff ExcentrikerやPhil wood Philcentric Outboard Bottom Bracket Cups、FSA EE104 ECCENTRIC ADAPTERを使用して、BB側でチェーンを引けるようにする方法。
Trickstuff ExcentrikerはホローテックIIコンパチブルのクランク、Phil wood Philcentric Outboard Bottom Bracket CupsはTruvativとSRAMの中空シャフトクランクに対応するらしい。
これらは、クランク軸を偏芯機構に載せてチェーンが引けるようにした製品だ。
しかし、BSA(JIS)のBB径が小さいので偏芯量も少なく、チェーンリングとコグの歯数によっては、チェーンに半コマを加えないと使えない場合もあるそうだ。
FSAのEE104 ECCENTRIC ADAPTERはPF30用なので、十分な偏芯量を確保しているだろう。
このように、ストレートドロップエンドのフレームでも固定ギヤ化は難しくない。
愛用のロードバイクを、より軽量で剛性の高い最新フレームへアップデートして、余ったフレームで固定ギヤのバイクを組みたいというニーズは今でもあるだろう。
フリーギヤを使ったシングルスピードで組む場合でも、上記の手法を採れば、チェーンをプーリーで押さえつける不格好なテンショナーを使わずにすむ。
第1案と第3案は、内装ギヤ化でも応用できる情報だ。