リニア中間駅は飯田市街南郊外が良いな
JR東海が中央新幹線を直線ルートとした場合の長野県に設置する中間駅は、飯田市北郊外を想定と発表している。
それに対して、地元はJR飯田線飯田駅併設を強く要望する格好になっているようだ。
しかし、仮に現飯田駅併設が具体化すれば、近隣住民は反対する可能性が高いのではなかろうか。
住宅街が収用されることになるからだ。
だからと言って、南に拡がる飯田市では、JR東海が示した市街北への中間駅設置の受諾は望ましくない。
県庁所在地が北に偏在する長野県では、南端の飯田市への投資は常に優先順位が低い。
県庁が偏在する県は、大概に江戸期の中心都市が佐幕派であった名残だ。県の中心が偏在すると、資本や人材の集約に支障が出る。自県の中心都市よりも、より近い大都市へと人材などが流れるからだ。結果として、その県の繁栄は遅滞する。
明治政府の嫌がらせが、今も続いているということか(苦笑)。
話を元に戻す。飯田市街の北郊外とは、飯田市の北端に当たる。最悪の場合、飯田市を外れ隣町になる可能性もある。
飯田市北端に中間駅ができることになれば、中間駅へのインフラ整備は以北が中心となるのは明白だ。
そして、中間駅が中心となる新しい町作りは、南側の飯田市へ拡がるよりも、北側の隣町へと拡がってゆくだろう。
あえて繰り返すが、「リニア新幹線中間駅を飯田線飯田駅併設ってのは無茶」というエントリーで指摘したように、中央新幹線を走るリニア車両のL0系は12両編成で全長300メートルを超える。
ホームだけでも400メートル近い長さとなるだろう。
JR東海が想定するポイントなども含めた中間駅施設の全長は1000メートルに及ぶ。
また、営業速度500km/hの旅客車両を1キロメートルの間で停車、加速させることは不可能なので、中間駅前後に減速、加速区間が必要となる。
本来なら、この加減速区間もある程度複々線化して閉塞区間の距離を詰め、ダイヤ編成をより過密化可能なようにしたいところだろう。
建設費と収益予想などとのトレードオフなため、こだまに相当する各駅停車タイプは中間駅に都度待機で、ひかりに当たるノンストップタイプの倍以上の時間を掛けて運行となりそうだが。
地元自治体が要望しているJR飯田線飯田駅併設を実現には、多くの人家や店舗の移転と土地買収が必要になる。
飯田駅を中心とする市街は、東西1km四方へ広がっているに過ぎない小さなものなのだ。
しかも、河岸段丘の極少な平地に立地するため、将来的な街区の広がりに対応できるキャパシティが無い。
技術的には地下駅によって現状の市街を維持しつつ、飯田駅併設ということも可能だろう。しかし、地上駅で350億円に対して、神奈川県などで設置が想定されている地下中間駅では2200億円という建設費が見積もられている。神奈川県の中間駅に比べて乗降客は圧倒的に少ないだろう駅へ、6倍近い建設費の負担は不可能だ。
市街地に中間駅を設置するとすれば、土地収用に掛かる費用も多額になろう。
仮に飯田駅へリニアを接続するなら、天竜川からの標高差もあり、喬木村方面から座光寺-上郷あたりに長大な高架橋が必要になると思われる。
日照や景観の変化の影響を受ける住民は少なくないだろう。
電磁波問題も吹聴され、住民の反対運動が発生する可能性すら出てくる。
飯田市は、市街南郊外を中間駅として要望すべきと思う。
地形や人口などを見るに、松尾地区から駄科あたりまでで実現の可能性を模索し、飯田市の要望として意見集約した方が、より現実味を帯びると思うのだ。
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