旧友が4月から地元へ帰ってくる。
本人から電話をもらう数週間前、何の拍子かみーちゃん氏に彼の逸話を語った。
ロッカーボムの話し。
それをサークルで話題にしたらしく、ロッカーの人が来るよ!ってことで掴みは完璧です。
早々に興味本位のお客様がつめかけるかも知れません。スマン。
お詫びに、おすすめコースを連れ回そう。彼も自転車乗りなのであった。
さて、彼が言うに、住まいをどこにするか悩んだそうだ。と言うのも、中央新幹線(リニア新幹線)のルートに掛かると立ち退きが必要となるそうだから、新築できないってことらしい。
そこで、リニアのルートが正式発表されるまでは借家住まいとしたそうだ。
中央新幹線は東京-名古屋間の2027年開業を目指し、2015年には着工を予定している。
ルートはまだ正式に決まっていないが、長野県が昨年6月に、二十年来主張していた諏訪地区を通過するルートから、赤石山脈を貫く直線ルートを容認する姿勢を見せたことや、山梨県が正式に直線ルートを支持したことを受け、いわゆるCルート(南アルプスルート)でほぼ確定した観がある。
こうなると、今度はより小さなコミュニティ間での施設誘致の綱引きとなる。
中央新幹線は、超高速浮上型リニアモーターカーという新技術で敷設される新型鉄道路線だ。
本来の技術的な制約に加え、安全性のマージンも十分に勘案してルートは設計されるだろう。そのため、地形や地質、水脈等の自然の諸条件の影響が大きくルート決定に影響するものと思われる。
つまり、概ねのルートが決定してからは、地域経済や政治的利害の配慮よりも、技術的な制約で実際に路線が敷設される場所が決まってしまうだろう。
超高速であるが故に、小回りは利かない。
JR東海内では既に具体的なルート設計を終えているのだろうが、多くの利害が絡むものであるため、ぎりぎりまで公表されないだろうと思われる。
そのため、Cルート近辺の自治体や利害関係団体は躍起になっている。
長野県では、飯田市周辺を中央新幹線が通過することになる。
ほぼ全県を縦断する山梨県では、中間駅を4駅作るようJR東海へ要望しているようだが、Cルートで決着するならば、長野県では飯田市周辺に一つ中間駅を設けるだけとなるだろう。
中間駅を設けないという選択は、地元にとってなんのメリットも無くなってしまい、環境の変化などのリスクを負って新幹線建設を受け入れる理由が消えてしまうからあり得ない。
都会への新しい交通インフラが整備される度に、地元(地方)から人材が流出することを憂う意見も起こる。
しかし、地方に魅力を感じない人々は、交通インフラに関係なく地元を離れる。魅力的な地域づくりにこそ力を注ぐべきであって、インフラの整備に反対するのは労力の無駄だ。
魅力的な地域には、人材が集まるものである。交通インフラが整備されていれば、それを使ってより集まってくる。
それが超高速鉄道ともなれば、定住地をその地方として都市で仕事をするとか、その逆もまたあるだろう。ダイナミックな人の移動が期待でき、お金もまたダイナミックに動くことになるのだ。
そして、飯田市周辺のどこへ中間駅を作って欲しいか?という論議が起こる。
中央新幹線を走るリニアモーター車両は、L0系として既に発表されている。車両の発注も近く行われるそうで、2013年度までに先頭車2両ならびに中間車3両を完成させ、山梨の実験線で試験を開始する予定だ。
さらに2015年度までには先頭車2両と中間車7両が追加完成され、営業運転時の12両編成での試験も開始される予定となっている。
L0系の先頭車両の長さは28m、中間車両は24m。連結部分の長さを無視しても、12両編成分の全長は296mに及ぶ。
JR飯田線を走る最も長い車両は373系ワイドビュー伊那路の3両編成で、全長は63mにすぎない。
飯田線の車両や駅舎を材料に、中央新幹線の中間駅を想像してはならない。
JR東海では、柔軟なダイヤ編成を可能にするため、2本のホームと4本の待避線路を持つ中間駅を想定している。
このような駅を造るには、幅40メートル、長さ1000メートルにも及ぶ敷地が必要となる。
設置に掛かる費用の見積は、地上駅の場合で350億円。
中間駅の建設費に関しては、受益者となる地元負担を求める姿勢がJR東海より示されている。
中間駅からの受益を得るために、そこへのアクセスや周辺整備は同時に行われなければならない。
こと飯田地区に関して言えば、JR東海は飯田線の活用はあり得ないという見解を示している。
JR飯田線は単線でしかも低規格なうえ、駅の数も多い。高速化を行うには大規模な改修が必要で、現実的ではない。
JR東海としては、高速バスを運行することで、北信や中信とリニア中間駅とを結ぶインフラに代えたいとしている。
つまり、中間駅の条件としての幅40メートル、長さ1キロメートルの敷地に加え、高速バスターミナルの併設が必要となる。
そして、高速バスをアクセスに活用する以上、飯田地区であれば、その立地は中央自動車道路のインターチェンジ近くであることが望ましい。
ところで、リニア新幹線実験線から、営業路線の設計思想が読みとれる。
実験線は曲率半径8000メートルのカーブが最小だ。つまり、それ以上の急カーブを営業路線で採用することはないだろう。
また、車輪で動力を伝達しないため、浮上型リニアモーターカーは勾配に対して強いとされている。
実験線には40パーミルの勾配が配されているそうだ。
また、山梨県の実験線は、そのまま本路線として活用される予定だ。
さらに、JR東海は赤石山脈を貫く長距離トンネルの実現性を検証するため、山梨県早川町と長野県大鹿村でボーリング調査を実施した。その場所は、本線の予定経路と一致していることだろう。
繰り返すことになるが、これら敷設条件と地形などを勘案して、ある程度のルート予測ができると言われている。
以上から、長野県に作られるだろう中間駅の位置も、自ずと決まってきてしまうだろう。
地元の意向は重要だろうが、合理性をないがしろにしてA,Bルートにこだわったようなことを繰り返してはならない。