所用ついでに走ってきた。
車で行けば大した距離じゃないのだが、自転車だと無料の高規格道路は使えないので峠越えとなる。
実はイマイチ走りたい気分じゃなかったけど、10月にもなったし冬はあっという間に来てしまう。雪で閉鎖される前に存分に走らなければって焦燥感もあった。
最初の登り、意外に足は軽い。
まぁ、距離は走っていなかったが、暇を見つけて近くの峠へは登っていた。だから、全然乗っていなかったわけじゃないものな。
峠を難なく越え、下りを快調に飛ばしたいところだが、小石や落ち葉、そして冠水もあって、注意深く走った。
ところが、振動で二度もキャットアイ
のフラッシングライト
が脱落。
タイヤチューブを括っている輪ゴムを使って、ライトのクリップの抜け止めをした。
以後、フラッシングライトが落ちることはなかった。
その後は何ら問題なく、次のピークまで所用を片付けながら気楽に登る。
レースでもないので、インナーローを多用して楽に走った。それでも、まずまずのタイムで登り切った。

山頂でソイジョイ一本とお茶で休憩。
来た道を戻り、今度は細かくラップ取りながら登り直す。一応、スタート前にまたソイジョイ1本を口にした。
5kmほど登って杉林が切れ、視界が開けたら、外光の変化に追随できなかったようで視野に大きなリップマーク型の光が見えた。ところが、このリップマークがなかなか消えない。
最近、ロングライド中に体調が悪くなると、この光視症が現れる。
その内、妙に気分が悪くなってきた。
仕方ないので一旦止まって、残っていたソイジョイ3本を無理矢理食べた。
後半の8kmは最後の700mを除き比較的斜度が緩む。ところが、1km平均6分近いスローペースになってしまった。
なんとか登り切ったけど。
ピークでコーラを飲むつもりだったが、寒くてホットミルクティーにしてしまった。
もっと糖分の高いものにすべきだったと今に思う。
それでも光視症状も気持ち悪さも消えていたから、5本も食べたソイジョイの効果が現れてきたのだと高を括っていた。
途中、高山練習中のどこぞのマラソンチームを追い抜き、下りでもそこそこ踏んで、いつものようなサイクリングになっていた。
最後の9kmの登りの前にパンでも買って食べようか、食堂でラーメンでもなんて思ってもいたけど、体調は復調しているし、時刻も16時半を回って日没まで1時間程度。
薄日が残る内にパスハントを終えたい焦りで、そのままアプローチしてしまった。
明らかに出力が落ちているのは、登り始からわかっていた。
普段なら39-23で充分な斜度だが、30-25でちんたら上っていった。
変調したのは3kmほど登ったあたり。酷い頭痛に襲われて、降車して座り込む。1分ほどで治まったので、再び走り始めたが、また1kmも上らない内に休むことになった。
明らかにハンガーノックだろう。しかし、補給食はもう無い。
ってか、ソイジョイ5本ってのは、いつも持っている倍以上の補給食だったんだがなぁ…。
道には猿が食べたのだろうアケビの皮が転がっている。
まだぶら下がっていないかと、両脇の林を眺めながら登った。偶に紫色の実を見つけるのだが、手の届かない場所なんだよね…。
ピークまで残り3kmほどと思われる場所で、3回目の休憩。今度は座っていることもできず、道へ横になった。
この道は高規格道路の迂回路なので、滅多に車が通らない。それでも、端に寄って寝そべったけど。
3分ほど横になって、再び走り出す。
2kmほどでまた頭痛が酷くなり、このままだとクリートから足を外す力も出せなくなると思って、また降車して道路に寝そべって小休止。
ピークまではあと1kmも無い。後はほとんどが下り坂だ。トンネルを越えてしまえば、楽になれる。
しかし、甘かった。
数分休んで、17時35分になんとかピークへ到着。
ここからトンネル内1kmは平坦。楽になって普通に走る。ギヤも53トップ。さっきまでの苦しさは何だったろう?って感じ。
後ろから珍しく車が来た。もし、さっきの登りだったら、迷わずヒッチハイクを申し込んだだろうけど、もう大丈夫と脇によってやり過ごす。
下り坂になって、気楽だったのが暗転。
脚を止めてずっと休めるなぁって予定も吹き飛んでしまった。
ワインディングが続く下りで、既に薄暮が迫って視界も悪い。前照灯を点けているが、1WLEDじゃ不十分。
そんな中、両腕が痺れ、腹筋と胸筋が異常に緊張してきた。その内、両脚が棒のように感じるようになる。
コーナーで踏ん張れない。ぐっとスピードを落とすのだが、自転車をコントロールしづらくなってきた。
クリートから足を外して楽しようとしても効果ない。
谷底へ落ちるわけにはいかないから、諦めて休むことにした。
法面へ自転車を立て掛けて、道路へ座り込む。駄目だ、再び寝そべった。
杉林の間から見える空は、群青を深めている。星が瞬き出すまで、横になって空を眺めていた。もしかしたら、少し眠ったかも知れない。
シカの鳴き声で我に返り、四肢の痺れが治まったことを確認して、再び帰路につく。
前照灯の朧気な光に照らし出された山道を下るのは恐かったが、自転車をコントロールするまでには回復できていた。
集落が見え、「なにか食べさせてください」と手近な家へ駆け込んだという新城選手の逸話を思い出した。
次の集落で食料品店を見つけたので、アンパンとチョコパンを買ってコーラで流し込む。
俄然体調が良くなって、残りは気楽に走れた。一時はどうなるかと思ったが、約束の時間までには戻れたので良しとしよう。
それにしても、ソイジョイは食べ応えあるのだけど、これだけでは補給食として足りないんだな。
こんなハンガーノックは初めての経験。これからは糖質を補う食品も持つようにしなくちゃ。