遠山郷和田宿殿町の茶屋「ふじ姫饅頭」
あまりに美味しいと、秘密にしておきたくなるものかも知れない。
ちょっと良いものは、皆に教えたいものだけど。
坂道自転車通勤隊の隊長さんから教わったのが、旧南信濃村和田宿の遠山名物「ふじ姫饅頭」。
これが実に美味しい。
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和田宿を見渡す丘の上に遠山郷土館和田城があって、隣接する龍淵寺には日本一のナチュラル・ミネラルウォーターとされる「観音霊水」が滔々と湧きだしている。
硬度178.0ながら、コントレックスほどの癖はない。
龍淵寺のご住職は、生まれてこの方病気をした記憶が無いと聞いた。
水量も豊富なうえ、名前通りの霊験あらたな清水ながら、今まではそれほど知られていなかった。
ところが先日、環境省の「平成の名水百選」に決定したため俄に注目されている。
ポリタンクを抱えた人々が列をなす日も、決して遠い将来ではなかろう。
「ふじ姫饅頭」を製造販売する「殿町の茶屋」は、和田城の駐車場にある。
観音霊水の人気が高まれば、おのずとこの超おいしい饅頭も話題になるだろう。
ふじ姫饅頭は、そば饅頭とよもぎ饅頭の2種類。
どちらも遠山産の材料を使って、地元の方が手作りされている。
早朝6時からその日の販売分を作り始め、朝の7時前には店頭に並びはじめる。
仕込み分が売り切れれば、その日はお仕舞い。
南信濃では定番の引き出物なようで、8個入り千円の折り詰めが飛ぶように売れて行く。
昼過ぎまで残ることは稀との噂でもある、既に幻となりそうなお饅頭だ。
小豆餡の砂糖と塩加減が絶妙で程良い甘さ。保存料も不使用だから、丸1日程度しか保たない。
冷凍保存しなけりゃ通販はあり得ないってのが、買いに行けるファンにとってはまだ幸いと言えるかも知れない。
米粉に長芋粉、そして蕎麦粉を練り上げた饅頭の皮はもっちりとして絶妙な歯ごたえ。そして、口中に広がる蕎麦の薫り。最高です。
「ふじ姫饅頭」のためだけに和田宿を訪れるのもアリだと思ってしまう今日この頃。
尚、昭和の名水百選では、飯田市街の後背、大平街道途中にある「猿倉の泉」が選定されている。
こちらは観音霊水とは真逆の軟水で、甘みを感じる茶の湯に適した水とされている。
南信州では、天竜川を挟んで西側が軟水、東側は硬水が多いと言われている。
平成の名水百選に推薦され、惜しくも選定に漏れた清内路村一番清水も軟水だ。
ちなみに飯田市街に水道水を供給する砂払浄水場の水源は、大平宿の黒川。
「うまい水」とされる軟水で、水道水でも美味しく、風呂水としても肌に優しい水質なのだそうだ。
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