ANT+SportTMプロトコル
ガーミン Forerunner 305を購入して、キャットアイのサイクルコンピュータなどとのデータ連携ができれば良いのになぁなんて書いたけど、既にスポーツ用センサ向けの標準プロトコルが策定されて、実際に製品がリリースされたそうだ。
そのプロトコルは、Bluetooth同様の2.4GHz帯のデジタルトランシーバーを使った超低消費電力無線通信のANT+SportTM
ハートレートセンサー、スピードセンサー、ケイデンスセンサー、そしてパワーセンサー、さらに情報を表示、記録する装置と解析装置とをワイヤレスで結ぶための標準プロトコルで、センサーからの情報を表示記録する装置はGARMINがまずリリースした。
自転車用トレーニング機器として発売されているEdgeシリーズの最新モデル、Edge 705がそれで、パワーメーターとの通信プロトコル用としてANT+Sportをサポートしている。
Edge 305の日本語リファレンスマニュアルを読んで、GARMINのハートレートセンサやバイクポッドはPolar同様にアナログID方式で信号をワイヤレス送信しているものと思っていた。
しかし、Forerunner 305の資料にあたったら、"Wireless: Communication between system devices via ANT protocol"という記述がある。
GARMINの無線通信を使う機器は、既にANTプロトコルを採用していたようだ。デジタル転送方式だった訳だね。
ANT+Sportはセンサとの通信以外に、機器間通信にも用いられる。
ForerunnerシリーズのニューモデルForerunner 405では、従来のUSBやシリアルケーブル接続に代わり、ANT+Sportを使ってPCと連携させる仕様になった。
そのため、通信ケーブルの代わりにPCのUSB端子に接続するANT+Sportドングルが付属する。
この機器間通信は、Edge 705でも採用されているようだ。
ANT+Sport対応のパワーメーターは、SRMとQuarqからそれぞれ発表された。
どちらもGARMIN Edge 705対応が謳われ、今年はスポーツ用機器間相互通信元年となる模様だ。
PCの世界で先行した2.4GHz帯短距離省電力通信標準プロトコルのBluetoothは、任天堂Wiiでの採用などでやっと日の目を見た観がある。
ANT+Sportの行方は未知数だが、SUUNTOもANTプロトコルを採用しているし、今後ANT+Sportへ統一していくかも知れない。
そうなると、独自規格でやっているCATEYEやPolarなどは苦しくなってくるか?
また、付加価値の高い表示記録装置部分は、GPSを得意とするGARMINの一人勝ちになる懸念もある。
ユーザーとしては、Polarの心拍ベルトにCATEYEのスピードケイデンスセンサ、シマノあたりがクランクにパワーメーター仕込んだモデル出して、それらをANT+SportによりGARMINのGPSフィットネスウォッチで表示、データ記録する。
取得したデータはANT+SportでPCとワイヤレス接続して管理、トレーニングメニューをPCから取り込むなんて図が理想的だ。
電動シフティングシステムもANT+Sportで無線操作、並びにシフティング情報を管理って方向へ転換して欲しい。
事前に制御機器へインストールしたコースプロファイルと、GPS、そしてパワーメーターやケイデンスセンサー、ハートレートモニタとの連携で、シフティングを完全自動化もしくは積極的に機器がレーサーに指示するってシステムの実用化も、既に可能な状況となっていると思われる。
ANT+Sportと対応する機器に今後注目しよう。
-2009年3月24日 追記-
関連記事:「低電力無線が自転車競技選手のトレーニングを改善する」(Design News Japan)
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