固定ギヤ
競輪に興味のある人なら「踏み切り」、最近だとFixed Gearを縮めてFixie(フィクシー)なんても呼ぶらしい。
何の話かと言えば、後輪が空転するためのフリーという仕組みを持たない自転車のコト。
固定ギヤ車は、クランクと後輪が前後にシンクロして動く構造となる。
そのため、一般的に変速装置を持たず、ブレーキ装置も省かれることが多い。
このシンプルさと、原始的な操作感が自転車愛好家には新鮮に感じられると言うのだ。
尚、ブレーキを持たない固定ギヤ車は、クランクを逆方向へ回す様に力を加える(バックを踏む)ことにより制動する。
固定ギヤ車の内、バンク(横傾斜:カント)がついたオーバルコース(トラック)専用の自転車をピストと呼ぶそうだ。
ピスト車の内、NJS規格に合致したものが競輪用自転車ってことになるのかな。
ピストは競技規定により、ブレーキ装置は付けない。
最近、公道で固定ギヤの自転車に乗るのがサイクリストの間でちょっとしたブームになっている様だ。
専用コースと違って外乱が多いため、普通の自転車同様にハンドブレーキが付加されている。
しかし、リアブレーキはバックを踏むことで代用し、フロントのみブレーキを付ける愛好家が多いらしい。
固定ギヤブームは、アメリカ発。
タンクトップにジーンズ、素足にスニーカー履きで肩に入れ墨したモヒカンの若者が乗っているイメージがある(苦笑)。実際はどんな嗜好のグループが流行らせたのか知らないけど。
日本では、即日宅配を自転車で請け負うメッセンジャーという職業の人達が好んで乗るようになったのだそうだ。
アメリカでもメッセンジャーが流行らしたのかな?
固定ギヤではクランクとリアホイールとの動きが完全にシンクロするようにチェーンを張り、可能な限りガタは取り除きつつスムースに駆動系が動く位置をリアホイールシャフトの前後位置で調節しなくてはならない。
そこで、リアエンドはシティサイクル(ママチャリ)と同じトラックエンドになっていて、チェーン引きでシャフトを前後に移動できるようになっている。
数年前までは、固定ギヤと言えばピストのことだった。
街乗り用に設計された固定ギヤ用(トラックエンド)のフレームはほとんど無かったので、ピストの中古車にブレーキを付けて公道仕様にするのが一般的。
ところが、ピストフレームはブレーキの取り付けを想定していない。
そこで、ブレーキ台座を後付けしたり、フォーククラウンにブレーキ固定用の穴を開けるなどの改造が必要となる。
また、トラック競技仕様なジオメトリで、シートチューブは随分立ってるし、ハンガー高も低くフロントタイヤも近い。
公道で乗ると、つま先はしょっちゅうフロントタイヤに干渉するし、コーナーではペダルを路面に摺りまくるってことになるのだそうな。
そうは言っても、そんなジオメトリの自転車をカジュアルな格好で乗りこなすのが、妙にファッショナブルと感じるんだよね。
勿論、髪は金髪に染めてモヒカン、もしくはスキンヘッドが良いな(笑)。
先日、ロードフレームをベースに固定ギヤへ改造した自転車を譲り受けた。
ベース車は台灣製と揶揄されているイタリア製のアルミフレームロードで、ディレーラーハンガーがある所謂ドロップエンドのフレーム。
NJS仕様のシマノデュラエースリアハブを130mmシャフトへ換えてワッシャで帳尻合わせし、クイックレリーズで固定した。
チェーンは齣が合う様に前後ギヤ比を決め、手で引いてテンションを出しクイックで留めるって泥縄な手法。
このハブには左右にギヤを固定できるので、片側はフリー体を介して同じ歯数のコグを設け、ホイールをひっくり返して固定ギヤとフリーの利くシングルスピードとを交互に楽しめる。
本来なら、偏芯シャフトを持つWhite Industries社のハブ(Eric's Eccentric)を利用すべきだ。
これなら、固定シャフトの位置を決めてハブシャフトを回してやればチェーンが引ける。
ドロップエンドのフレームで固定ギヤを楽しむために開発された商品だから、よくできている。
ただ、130US$もする高価なものなので、これを使ってリアホイールを組むと3万円超と高くついてしまうのだ…。
さて、ブレーキは前後にアルテグラの舟一体シューを付けたティアグラを付けている。
ハンドルはロード用の浅曲がりなドロップに105のエアロブレーキレバー。
リムは700cで、チューブラータイヤを使っている。
フレームのみならず、クランクもギヤもロード用を流用。
チェーンも8s用ナローだ。そのため、リアコグも薄歯にしている。
強度的にはNJSのトラック用チェーンとすべきらしいが、ホビーライダーが踏むのだから重量は軽い方が良いだろう。
とまぁ、いい加減な仕様ながら、その固定ギヤ車はとても楽しい。
JOJOに比べれば随分軽いとはいえ、ロードでは普通と言える車重なのに坂をすいすい登っていける。
尤も、タイヤの差って気もするが(苦笑)。
ハンドブレーキが付いてるから、下り坂も怖くない(笑)。
意外にバックもそこそこ踏めるし、普段重い自転車に乗ってるからだろうが、この固定ギヤ車に乗るのが楽しくって仕方ない。
譲ってくれた方からは、適当にコンポ追加して普通のロードで使うと楽しいよって薦められたけど、暫くはこのまま固定ギヤ入門用として堪能しようと思っている。
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